配管溶接工事の作業手順について
配管溶接工事は、多くの産業設備で欠かすことのできない重要な施工技術です。株式会社ケイズファシリティでは、各種配管工事・溶接加工一式を手がけており、確実で安全な配管システムの構築を目指しています。本記事では、配管溶接工事の基本的な作業手順と各工程のポイントについて詳しく解説いたします。
1.事前準備・設計段階
見積依頼・仕様確認
配管溶接工事の第一段階として、顧客からの見積依頼に対する詳細な仕様確認を行います。この段階では、希望数量、材質、寸法、納期などの必要事項を明記し、図面を添えて依頼内容を精査します。また、現場で使用できる加工機や対応方法、作業手順も事前に確認することで、スムーズな打ち合わせが可能になります。
施工計画の策定
発注が決定した後は、施工図や施工計画書の確認と内容のすり合わせが必要です。この段階で、WPS(溶接施工要領書)の作成を行います。WPSは「母材、溶接材料、溶接条件(電流、電圧、姿勢など)および熱処理条件などを明文化したもので、溶接士への作業指示書」となる重要な文書です。
有資格者の配置
配管溶接工事では、溶接士の技量認定(WPQ)を取得した有資格者による施工が不可欠です。溶接士が正しく溶接できることを認証する溶接士技量認定により、品質の保証された施工体制を構築します。
2.材料調達・検査段階
材料検査
施工前の準備として、使用する配管材料の品質確認を行います。この段階では、材料検査、部品検査、配管洗浄、施工従事者の選任を実施します。材料検査では「油脂類が完全に除去され十分に乾燥され」ていることを確認し、汚染のない状態での施工準備を整えます。
溶接材料の選定
配管材質に応じた最適な溶接材料を選定します。鉄管・炭素鋼管にはアーク溶接やMAG溶接が一般的に適用され、ステンレス管にはTIG溶接での高品質仕上げが推奨されます。銅管や特殊合金管には、TIG溶接やろう付けが選ばれる場合もあります。
3.現場準備・寸法確認段階
工事場所の寸法把握
現場での施工に先立ち、正確な寸法測定を実施します。スプール図と呼ばれる「平面図に高さを加えたパースのような図面から、設置するスペースの寸法を出します。また、配管の展開図から角度などを確認」することで、現場の状況に合わせた精密な施工準備を行います。
現場環境の確認
溶接施工の品質に直接影響する現場環境の確認も重要です。屋外や狭い場所ではアーク溶接が有利となり、風の強い環境ではTIGや被覆アークが安定し、工場や作業場では半自動溶接による効率化が可能になるなど、環境に適応した手法の選定を行います。
4.配管切断・加工段階
精密切断作業
配管材を確認して、図面の寸法を参考に現場で調整しながら切断を行います。現場によってはプレカットした配管を利用する場合もありますが、「プレカットして納品する場合でも、個々の現場状況に合わせた調整が必要」となるケースも多く、現場での細かな対応が品質を左右します。
開先加工
溶接部の品質確保のため、適切な開先角度とルートギャップの設定を行います。施工中の前処理確認として「母材の清掃、開先角度、ルートギャップなどを確認」し、溶接条件に適合した準備を整えます。
5.溶接施工段階
タック溶接
本溶接に先立ち、配管部材の芯出しを正確に行った上で、タック溶接を実施します。タック溶接は有資格者がTIG溶接法により実施し、管端矯正治具等を用いて精密な位置決めを行います。
本溶接作業
配管材質と肉厚に応じた最適な溶接方法を選定します。薄肉・小径管には熱影響を抑えやすいTIG溶接を、厚肉・大径管にはアーク溶接やサブマージアーク溶接を使い分けて施工します。
TIG溶接の特徴
TIG溶接(アルゴン溶接)は、「不活性ガス(アルゴン)で母材をシールドしながらタングステン電極を使用する溶接方法」で、ステンレス配管や薄肉管の施工に多用されます。仕上がりが美しく、気密性・耐食性が求められる場面に最適です。
アーク溶接の特徴
アーク溶接(被覆アーク溶接)は、「電極棒の先端に電流を流し、発生するアーク熱で母材と溶加材を溶融して接合」する方法で、設備がシンプルで現場対応力が高く、屋外や狭所でも活用できる汎用性の高い溶接法です。
溶接条件の管理
施工中は継続的な品質管理が必要です。使用する電流・電圧・速度などがWPSに記載されている範囲内であるかをチェックし、中間検査として「溶け込み状況・表面きずやスラグ残存がないことなどを目視確認・計測」を実施します。
6.配管固定・接続段階
支持金具の取り付け
指示金具の取り付けやスリーブの埋め込みをしながら配管をつなぎ合わせて固定します。この工程では、配管の荷重を適切に支持し、熱膨張による応力を考慮した固定方法の選定が重要です。
系統接続作業
複数の配管系統を接続する際は、系統別の管理と段階的な接続作業が必要です。主要な太管と共用立て管を先行して施工し、その後に分岐配管を接続する手順により、現場での取り回しスペースを確保しながら効率的な施工を進めます。
7.検査・試験段階
圧力試験
配管からのもれや固定にゆるみがないかを確認するため圧力試験を行います。施工ミスがあると大事故を引き起こす原因となるため、注意深く検査を実施します。この試験により、設計圧力に対する安全性と密封性を確認します。
非破壊検査
完成後の溶接部に対しては、非破壊検査(NDE)を実施します。特に重要系統では、X線検査や超音波探傷検査による内部欠陥の検出が必須となり、製品を壊すことなく内部欠陥を検出することで品質保証を行います。
検査記録の作成
検査を終えたら、溶接検査報告書として検査結果を記録・保存します。溶接士・WPS番号・溶接材料のロットなどの情報を紐づけて管理し、トレーサビリティを確保することで、ライフサイクル全体の品質保証を可能にします。
8.完工・引渡し段階
最終確認
すべての施工が完了した後、設計図書と照合しながら最終確認を行います。配管の経路、勾配、支持状況、バルブ類の設置状況など、仕様に適合していることを総合的に検査します。
引渡し書類の整備
施工完了後は、完工図書、検査成績書、使用材料証明書、溶接検査報告書など、引渡しに必要な書類を整備します。これらの書類は、将来のメンテナンスや改修工事の際の重要な参考資料となります。
品質管理のポイント
施工前の品質管理
施工法確認試験の実施により、WPSに基づいた施工法の有効性を確認し、PQR(溶接施工法確認試験記録)を作成して試験体作成時の溶接条件と機械試験などの試験結果を記録します。これにより溶接部の機械的性質の性能証明を行います。
施工中の品質管理
溶接機材の点検として、トーチ、電源、ケーブル接続などに異常がないかを確認し、各工程での品質基準への適合性を継続的に監視します。特に溶接条件の管理は品質に直結するため、厳密な管理が必要です。
環境配慮と効率性
現代の配管溶接工事では、環境への配慮も重要な要素となっています。適切な溶接方法の選定により、GMAW(MAG溶接)やFCAWは電気エネルギーの利用効率が高く、電力消費の抑制につながります。また、自動溶接の導入により作業者の肉体的な負担を軽減し、アーク熱や溶接時に生じる煙(ヒューム)の影響を低減することも可能です。
まとめ
配管溶接工事は、計画から完工まで各工程において高い技術力と品質管理能力が求められる専門性の高い工事です。
株式会社ケイズファシリティでは、これらの工程を確実に実行し、安全で高品質な配管システムの構築を実現しています。
各種配管工事・溶接加工一式を手がける株式会社ケイズファシリティでは、これらの作業手順を遵守し、お客様に信頼される高品質な配管溶接工事を提供しています。
技術の進歩とともに、より効率的で環境に配慮した施工方法の採用も進めており、持続可能な社会の実現に貢献する配管溶接工事を目指しています。
工場の配管工事や溶接加工は愛知県大府市の株式会社ケイズファシリティ|求人
株式会社ケイズファシリティ
〒474-0002 愛知県大府市北崎町二丁目88番地16
TEL:090-1517-1779 FAX:052-693-8852[営業電話お断り]
